ここ数年で世間を賑わせている押し買い。
押し買い自体は昔から存在したものの、くつくつ詐欺被害の急増により押し買いとその対策に注目を集めています。
実はこの最新違法手口とされるくつくつ詐欺も、昔と手口が変わっただけで実態は大きく変わっていないのはご存知でしょうか。
例えば靴以外の不用品回収業者でも、押し買いを強引にしてくる可能性があります。
この記事では、そんな違法訪問買取をいかに予防し撃退するのか、対策をリストアップし解説します。
押し買いとは何か?
そもそも押し買いとは何なのか?
「不用品を無料で回収しますよ」と個人宅を違法で訪問し、当初回収すると言っていた物とは別の物を安価な値段で買い叩く行為です。
特に宝飾品が狙われます。
この中には、「そんな話は聞いていない」と断ろうとしたら脅迫され圧力をかけられたり、非常に強引な手段で回収をしようとしてくる行為も含まれます。
本当の業者も居れば、装っただけで回収事業に従事していない人間すら居ます。
リーマンショック以降は貴金属の相場が高騰。
それに伴い2009年から2011年をピークに、こうした違法悪徳業者による被害件数が何倍にも膨れ上がっているのが現状です。
違法悪徳業者の手口
冒頭で述べた、くつくつ詐欺を例とすると・・・
- 「不要な靴を無料回収します」と電話をかけアポイントを取る。又は突然お宅を訪問
- 回収する靴の整理が終わったら、他にも回収出来るものはないか探し始める
- 宝飾品など高額で売れるものを安値で買い叩かれる
- 断ろうとすると人が変わったように怒りだしたり、威圧してくる
といった具合です。
仮にこの回収業者の回収対象が靴じゃない場合でも、金品を回収する事が最終的な目的です。
どんな不用品を業者が回収するかはあまり関係無いので注意が必要です。
実際に寄せられた相談事例
以下、最近国民生活センターに実際に寄せられた相談事例です。
- 高齢の母に不用品を買い取ると電話があり、明日取りに来ることを母は了承したと言うが不審なので断りたい。どうすればいいか。
- 古着を買い取ると業者から電話があり、訪問を了承したが服のほかに貴金属はないかと聞かれ、指輪を買い取られてしまった。クーリング・オフして指輪を取り戻したい。
- 母が訪問購入業者に貴金属を売却した。クーリング・オフしたいが業者と連絡がつかない。
- 突然来訪した訪問買取り業者に貴金属等を売却した後、売却していない記念硬貨が数点無くなっている事に気付いた。
- 不要な靴はないかと業者から電話があり、その後来訪した業者に指輪や靴を売却した。業者の買取額が安すぎるので、クーリング・オフしたい。
※相談者の申し出内容をもとにまとめたもの。
相談件数
ではどのぐらい国民生活センターに相談が寄せられたかというと・・・
年度 | 2015 | 2016 | 2017 | 2018 |
相談件数 | 8,601 | 8,656 | 8,431 | 6,236(前年同期 7,966) |
訪問買取によるトラブルが多発し2015年に法律の改正が行われても、これだけの件数の相談が寄せられるのが現状です。
悪徳業者の違法行為
その2015年以降に改正された法律により、以下の項目が回収業者には必須事項となりました。
- 契約日を含めた8日間はクーリング・オフが出来る
- 身分を証明するものを提示する
- 買取をする際に書面で契約書を渡す
- 契約者が依頼・承諾したもの以外は買取しない
言い換えると、これらの条件のうち1つでも条件を満たさない場合は、その業者の訪問買取は違法取引行為となります。
また、お願いをしても自分の家から出て行ってくれない迷惑行為も違法です。
警察に連絡すれば強制退去の手伝いをしてくれる場合があるので、勇気をもってまずは警察に連絡を。
トラブルを避ける為の対策
実際にトラブルを避ける為の対策をリストアップしました。
訪問買取にお願いをしない
全ての業者が悪徳業者ではないのですが、少しでも不安を感じたらそもそも訪問買取にはお願いをしない。
これがある意味、最善策です。
ある程度、貴金属や相場に知識があり、はっきりと拒否する事が出来る場合のみお願いしましょう。
決して1人では対応しない
女性の1人暮らし、特に年配の方の1人暮らしは業者に狙われやすいので、常に警戒する必要があります。
自分1人で対応していると業者が複数人で訪問する場合は圧力をかけられたり、脅されたりする可能性も強まります。
より安心して取引に望む為には、家族や友人にお願いして一緒に対応してもらうのも有力な対策方法です。
相手の身元を確認する
会社名とその住所、訪問した人間の個人名などが記載されている名刺をもらい、実在する社名かすぐにインターネットで調べましょう。
今時ホームページを持たない企業はあまり存在しません。
全く社名がインターネット上の検索結果に表示されない場合は、まず疑った方が良いです。
実績などが掲載されていれば、作業の参考になります。
違法性が無いちゃんとした企業が回収に来ても、何かトラブルがあった際は相手の身元や連絡先、企業名があれば安心ですよね?
また繰り返しになりますが、身元の提示が回収業者に義務付けられているので、そもそも身分証明するものを提示しない場合は違法となります。
その日の相場を知ろう
明らかに相場の買取価格よりも大きく値段が変わる場合は、まず買取業者を疑いましょう。
すぐに怪しい業者だと見抜く事が出来ます。
また、相場を知っていれば自分から貴金属買取を依頼した際にも有効です。
自分から依頼する場合と悪徳業者に押し買いされる場合。
どちらのケースにしても、その日の相場を知らなければ安く買い叩かれてしまう場合があります。
貴金属の相場は、貴金属を売買する業者のホームページなどで確認が出来ます。
国内で最も知名度が高いのは、田中貴金属ですね。
田中貴金属ホームページ貴金属価格情報
https://gold.tanaka.co.jp/index.php
1つ注意する点としては、回収業者はその日の相場そのままの値段では買取してくれません。
業者側の回収手数料や、回収業者が回収した貴金属を換金するのに分析屋に提出する際、分析手数料が必要だからです。
そうした手数料が上乗せされる分、相場の買い取り価格より必ず若干は割安になります。
回収業者を撃退する
事前に知識をしっかりと頭に入れておき、少しでも業者が違法なそぶりを見せたら指摘する事が1番の撃退方法となります。
違法回収業者は、一般の方が不用品回収詐欺やクーリング・オフ制度についてあまり知識が無いと予想して営業をしてきます。
どんな行為が違法になるのか、こちら側がしっかりと把握しておけば彼らの動きを見張る事が可能です。
ただ、悪徳回収業者も騙しのプロが多く、依頼主に圧力をかける為に複数人で作業に訪問する場合があります。
知っていても危険が伴う取引の場合は、無理に撃退をせずにクーリング・オフを使いましょう。
もしも被害に遭ってしまったら
家族や友人に相談する
例え電話で回収予約をしてしまったとしても、何か少しでも怪しいと感じたら身の回りの方に相談する事が被害に遭わない為の第一歩です。
消費者ホットラインを使う
何か困った際の消費者ホットライン188(全国統一、局番なし)に相談する事で、最寄の窓口に繋がるようになっています。
繋がらない場合のバックアップ連絡先なども掲載されているので、詳細は下記のページからご確認下さい。
消費者ホットライン
http://www.kokusen.go.jp/map/index.html
クーリング・オフを適用する
押し買い、違法な訪問買取で買い取られてしまった、指輪、ネックレス、チェーン、イヤリング、ブレスレットなどの貴金属や宝飾品は、クーリング・オフが出来ます。
仮に回収業者が「もう手元にない」とか、「この品は対象外だ」と言ってきても、決して惑わされないようご注意下さい。
また、消費者のクーリング・オフを妨害するような行為も違法となりますので、警察や国民生活センターに相談を。
まとめ
ここまで読んで頂き有難う御座いました。
まず被害を最小限に食い止める為にも、何かあったらすぐに家族や友人に相談出来る環境が何よりも大事です。
高齢の家族が離れて住んでいる場合は、予め予備知識を教えておく、すぐに相談が出来るように日頃から連絡を取っておく事を心がけましょう。
高齢者が増え続ければ、確実に今後の違法回収手口も巧妙になるでしょう。
この記事が注意喚起になり、少しでも被害に遭われる方が減る事を願います。