ホワイトゴールド製品のほとんどはメッキされている。その理由とメッキ有無の違い。




 

 

ジュエリーで “ゴールド” と言うと、金色に輝く色をイメージをされる方が多いと思います。

それは金の中でも、イエローゴールドという金の種類です。

金の種類はイエローゴールドの他にも・・・

  • レッドゴールド
  • ピンクゴールド
  • グリーンゴールド
  • ホワイトゴールド

などの種類が存在します。

そして18金、14金、10金など、金の純度によっても素材の強度や色味が変化します。

つまり、金の種類と純度の組み合わせ数だけ、色味のバリエーションがあるという事です。

 

今回の記事では、そんな金の種類の中でも最もプラチナに色味が近いホワイトゴールドについて解説します。

一般的に市場に出回っているホワイトゴールド製品のほとんどは、メッキ加工(ロジウムメッキ)が施されているのをご存知でしょうか?

 

 

ホワイトゴールドとは?

 

そもそもホワイトゴールドとはどんな素材なのか。

簡単に説明すると、金に銀やパラジウムなどを混ぜた金属で、ゴールドといっても銀色に近い色味の素材です。

かと言ってプラチナ程白く明るい銀色ではなく、うっすらと黄味がかった銀色というイメージ。

プラチナと比べると、ホワイトゴールドの方が色が全体的に落ち着いた暗いトーンの銀白色を放ちます。

僕はよくお客様に説明する際、”鉛のような少し落ち着いたトーンの銀色” と話しています。

 

色の違いを実際に目で確認して頂いた方が早いので、こちらをご覧ください。

これがホワイトゴールドの素材本来の地の色です。

JEWELRY SHOPPING GUIDE, White Gold Vs Platinumより

 

よく混同されがちですが、プラチナとホワイトゴールドは全く違う貴金属なのです。

また、日本を含む一部のアジアの国では銀色で高価な貴金属と言えばプラチナですが、欧米などではプラチナはあまり使われずにホワイトゴールドが用いられます。

そもそもプラチナをジュエリー素材として使う文化があまりありません。

 

 

メッキ加工のメリット

 

では、なぜブランドショップやデパーツなど、市場で販売されている殆どのホワイトゴールド製品がメッキ加工されているのか。

以下の2点がメッキの主なメリットです。

 

より明るくなる

メッキをかけてコーティングする事で、プラチナと同じぐらい明るい銀白色になります。

これがメッキの1番のメリットですね。

プラチナと見比べてしまうと、女性は少しでも明るく輝く色を好む方が多いので、いつの時代もホワイトゴールドの地の色はそこまで人気ではありません。

勿論人それぞれの好みがあるので、ホワイトゴールドの落ち着いたワントーン暗めの輝きが好きな男性もいらっしゃいます。

 

貴金属の持ちが若干良くなる

これは使用環境によって大きく異なりますが、薄い膜が外側にコーティングされている分、磨り減り磨耗していく際にほんの少しだけ持ちが良くなります。

メリットとして記載していますが、これは本当に僅かな差の為大きなメリットとはなりません。

 

 

メッキ加工のデメリット

 

アレルギー反応の恐れ

1番のデメリットとしては、18金ホワイトゴールドの素材そのもの自体に反応しない人が、メッキの材質にアレルギー反応を起こす場合が極稀にあります。

メッキの材料として使用される貴金属はロジウムという材質です。

そのロジウムに反応してしまう場合は、購入した製品のメッキを剥がすか、そもそもメッキをかけないようにするしかありません。

一般市場に流通する殆どのホワイトゴールドのジュエリーはメッキ加工が施されていますが、オーダーメイドが可能な場所ならメッキをかけずに納品してもらえるでしょう。

既にメッキ加工された製品を購入したもののロジウムと肌が合わない場合は、修理やリフォームなどを請け負う工房に預け研磨して剥がしてもらう方法もあります。

 

色合いの変化

これは好みにもよりますが、使用と共にジュエリーが磨耗すると、必ずメッキ加工が剥がれてきます。

そうすると、よく磨耗する部分は下地の色が出てきて色合いがまだらになります。

勿論良く見ないと分からない程度ですが、これが気になってしまってメッキ加工をかけていない製品をあえて選ぶ方も。

 

 

紛らわしい表記や言い回しに注意

 

ホワイトゴールド以外にも、真鍮など安価な素材で作られたアクセサリーなどもよくメッキ加工がされています。

メッキ加工も銀色だけではなく、ゴールド、レッド、ピンク、グリーン、ブラックなど、下地となる貴金属の種類やメッキの材質によってもメッキ加工で出せる色の幅も異なります。

ただし!こうしたメッキ加工の事を、ブランドやメーカー、店舗やスタッフによってはメッキ加工と表現しない場合があります。

メッキの代わりに “コーティング” という言葉を使うのです。

これが本当に紛らわしい。

意味合いは間違っていませんが、実はこの表現だと全く別の作業と誤解されやすくなってしまう可能性が高いのです。

 

もう1つのコーティングとは

店舗のサンプルなど、沢山の人が手に触れ傷つきやすいものや指紋など汚れが付き易いジュエリーに、透明なコーティング剤を塗る事があります。

これをする事で、指紋や油汚れが付きにくくなったり簡単に汚れを拭き落とせるようになり、多少の小キズからも守ってくれ持ちが良くなる効果が期待出来ます。

こちらは特別な加工ではなく、透明な液体に漬けて乾燥させるだけで皮膜が作れる専用液体です。

特別な技術や知識は全く必要ありません。

 

メッキ加工と透明な皮膜を施す作業、どちらの加工も場所によっては “コーティング” と表現される場合があるので、混乱しないよう注意が必要です。

故に僕ら職人はメッキ加工はメッキ、透明なコーティングはコーティングと呼び分けをしています。

 

 

メッキ加工まとめ

 

ここまでザックリとメッキ加工について解説してきましたが、メッキ加工の有無でジュエリーの良し悪しが決まる訳ではありません。

メッキ加工をする事で・・・

  • 希望の色味に変化させる事が出来る
  • 持ちが少し良くなる
  • アレルギー反応のリクスが高まる可能性がある。

という事を覚えておきましょう。