プロの職人が教える、自宅で簡単に出来るジュエリークリーニング【お手入れ方法】




 

 

自分へのご褒美として購入したジュエリー、大切な人からプレゼントされたジュエリー、家族から譲り受けたジュエリーなど、特に女性の方はお気に入りのジュエリーを1つは誰でも持っているのではないでしょうか?

そんなジュエリーは購入時はピカピカ輝いていても、身に着け長年使用していると必ず輝きが鈍くなってきます。

「自宅でクリーニングしたい場合はどうしたら良いですか?」と、仕事でもプライベートでも聞かれる事が比較的多いので、今回はそんな大切なジュエリーをクリーニングする方法を紹介します。

プロの専用工具を使用した研磨や洗浄クリーニングのレベルまではいきませんが、皮脂や油汚れを落とす程度の比較的軽度なクリーニングなら、実は日頃皆さんが家で生活に使用している物を使って簡単に出来ちゃいます。

クリーニングをする際に注意すべき特定の宝石、またその取り扱いについても触れながら解説するのでよく読みながら実践してみて下さいね。

 

 

クリーニングに必要なもの

 

用意するものは、たったのこれだけ!

  • 適当な器(キッチンで使用するボウルや洗面器など)
  • 中性洗剤
  • ぬるま湯
  • 毛先が柔らかい、要らなくなった歯ブラシ
  • 綺麗なタオル
  • ドライヤー

 

 

クリーニング前に必ず確認するべきポイント

 

さっそくクリーニングを開始したいところですが、ここでちょっと待った!!!

もしも、これからクリーニングをしようと思っているジュエリーに宝石が留まっている場合は、何の宝石かをしっかりと特定し、扱い方を理解してからクリーニングをしましょう。

種類や扱い方を知っていないと宝石をキズ付けてしまう可能性があります。

宝石は種類によっては非常に繊細です。

繊細な宝石がどれぐらい繊細かというと、少しコツンとぶつけたらキズが付いたり、欠けたり、ヒビが入るものもあり、本来であれば非常に注意しながら扱わないといけないもの。

一般の方は、自分で石留め作業をして失敗し宝石を割るといった経験が無いので、言葉で表現をされても想像するには限界があると思いますが、最悪の事態を回避出来るように気をつけながらクリーニング作業を行う必要があります。

 

では実際にどんな宝石に注意すべきなのか?

以下が注意すべき代表的な宝石です。

 

取り扱いに注意が必要な宝石

 

要注意!!

タンザナイト、クンツァイト、フルオライト、トパーズ、ムーンストーン、エメラルド、オパール、真珠、珊瑚(さんご)、琥珀(こはく)

※【フローライトと日本語では表記されがちですが、フルオライトが正しい発音に近いです。真珠は最近では一般的にパールと呼ばれる事の方が多いですが、オパールと混同しないよう真珠と記載しています】

 

特徴や色味が分かるように画像を貼っておきますが、1つの種類の宝石でも色合いは濃かった薄かったり、産地によって全く違う特徴があったりと、まちまちです。

また、画像がカットされた状態の宝石ではなく、原石での状態の画像も含んでいるのでご了承下さい。

 

タンザナイト

 

クンツァイト

 

フルオライト(様々な色が存在します)

 

トパーズ(多くは無色か淡い黄色で、流通の多くが人的に色を調整)

 

ムーンストーン

 

エメラルド

 

オパール

 

真珠(パール)

 

珊瑚

 

琥珀

 

 

特にエメラルドとオパールは、宝飾品に使用される全ての宝石の中でも最も脆い宝石の部類として知られています。

そして今回は中性洗剤を使用してクリーニングするお手入れ方法を紹介していますが、エメラルドとオパールはものにより洗剤の影響を受け変色する可能性があるので、中性洗剤を使用したクリーニングは避け、プロにお願いしましょう。

ただし、宝石が留まっている部分を避け、金属部分だけを軽く洗浄するぐらいであれば可能です。

また、真珠(パール)もお湯に付けてしまうと、表面の割れや欠け、変色などの劣化を起こす恐れがあるので、今回のクリーニングは出来ない宝石となってきます。

 

つまり・・・

エメラルド、オパール、真珠(パール)が留まっているジュエリーは今回ご紹介するクリーニングはオススメ出来ません。

その他の取り扱いが難しい宝石がジュエリーに留まっている場合は、必ず取り扱い方法を理解した上、自己責任でクリーニング作業をお願いします。

 

 

クリーニング手順

 

1.まずは適当な容器にぬるま湯をはります。

 

2.用意したぬるま湯に中性洗剤を少量入れて混ぜます。

ぬるま湯に指を入れた際に、ぬるっとぬめりが少し出る程度に調整します。(数滴といった少量で大丈夫です。)

 

3.中性洗剤を混ぜたぬるま湯にジュエリーを浸します。

 

4.ぬるま湯に浸かったジュエリーを優しく歯ブラシで洗います。

この時に使用する歯ブラシは、必ず毛先が柔らかい物を使用して下さい。

そして、ゴシゴシと力を入れずに自然に浮いてくる汚れを除去するように擦ります。

 

毛先が硬い歯ブラシを使い強い力で擦ると柔らかい宝石はキズだらけになり、色が付いた宝石の表面が真っ白になる可能性があるので気を付けて下さい。

※ 長年放置された皮脂や油汚れはカッチカチに固まり、なかなか取れません。皮脂や油汚れがジュエリーの隙間や細かい部分に入り込んで落ちない場合は、つまようじなどジュエリーや宝石をキズ付けないもので、ぬるま湯でふやかしたところをつついて取りましょう。

取り扱いに注意が必要な宝石に該当する場合は、キズ付けないように注意して下さい。

 

5.歯ブラシで汚れを取ったジュエリーを、しっかりと流水で洗浄します。

この時にジュエリーの表面や細かい部分に中性洗剤が残ってしまうと、身に付けた際に肌が荒れたりかぶれたりする原因となるので、しっかりと洗い流しましょう。

 

6.柔らかいタオルの上にジュエリーを置き、タオルの両端を被せるように包み込みながら、ジュエリー表面に付着した水分をタオルで拭き取ります。

タオルで拭く際も、ゴシゴシと擦れば宝石にキズが付く可能性があるので決して擦らないで下さい。タオルを軽く押し当てて水分が取れれば十分です。

 

7.畳んだタオルを開き、ジュエリーをタオルの上に置いた状態に戻します。

ここでドライヤーの出番です!タオルでは取りきれなかった細かい部分に入り込んだ水分を、ドライヤーでブローする事により外へ出してあげましょう。

ドライヤーを使用する際も1点注意して欲しいのですが、石に関して知識が無い方は絶対に温風の使用は避けて下さい。

 

エメラルドのように宝石内にオイルが含浸されている宝石や、オパールのように元々内部に水分を含む宝石を過度に熱してしまうと、熱でオイルが溶け出してしまったり、宝石内部の水分が抜けて表面にヒビが入ったり割れや欠けの原因になります。

 

折角エメラルドとオパールが留まったジュエリーを、しっかりと中性洗剤に宝石が浸からないように洗浄出来たとしても、熱風で壊してしまっては台無しです。

その他の宝石も熱に弱い宝石は数多く存在するので、可能な限り冷風で水気を飛ばして乾燥させて下さい。

 

冷風をしばらく当てて、水気が全部飛んだらクリーニング完了です!

 

 

研磨用クロスを使ったクリーニング

 

最も簡単なクリーニングといったら、市販で売られている研磨用クロスを使ってジュエリーを綺麗に磨いてあげること。

ジュエリーの金属部分の表面に光沢を出し直す事が可能です。

手順も簡単で、予め研磨剤と光沢を出すワックスを染み込ませてあるクロスでジュエリーを擦るだけ!

 

4重設計のおすすめ銀みがきクロス(3枚入りセット)

 

金みがきクロス(2枚入りセット)

 

 

使用する金属の種類別で販売されている事が多いので、自分がメンテナンスしたいジュエリーの素材を予め確認しておきましょう。

確認をした事がない場合は、ジュエリーの隅々まで見て金性(きんしょう)の刻印を探してみて下さい。

貴金属で製造されている場合は必ずジュエリーのどこかに、どんな素材で作られているか素材の打刻をしなくてはなりません。(少なくとも多くの国の法律では)

例えばリングであれば内側、ペンダントであれば目立たない裏側など。

 

ただ、1つ注意しなくてはいけないのが、やはりここでもキズ付き易い宝石や脆い宝石とクロスに含まれている研磨剤の相性が悪い事。

研磨剤は貴金属を磨く為の強い摩擦を起こすもので、繊細な宝石は研磨剤が入ったクロスで拭いてしまうとキズだらけになってしまいます。

注意すべき宝石は、ぬるま湯と中性洗剤を使ってクリーニングする際に注意すべき宝石として挙げた種類のものと同様です。

キズが付きやすい宝石や脆い宝石は、研磨剤入りのクロスで擦った瞬間に表面が真っ白になる可能性があります。

また、研磨用クロスで擦れば光沢は多少出ますが、中性洗剤を使ったクリーニングのように細かいデザインの隙間などの皮脂や油汚れが取除ける訳ではありません。

 

 

まとめ

 

  • エメラルド
  • オパール
  • 真珠(パール)

これらの宝石が留まっているジュエリーは、可能な限り今回のクリーニングをしないでプロに任せましょう。

再度リマインドしておきますが、記事中の “取り扱いに注意が必要な宝石” で述べた宝石などの、キズ付きやすい宝石、砕け易い宝石、脆い宝石が留まっている場合は、くれぐれも注意して作業を行って下さい。

宝石の状態や留まり方によっても強度のある宝石も注意が必要な場合がありますが、基本的にはクリーニング作業時に強い衝撃を与えたり、熱湯に入れたり、歯ブラシでゴシゴシと力強く擦らなければ、砕け散るような状況にはならないでしょう。

そして何よりも水でしっかりと浮いた汚れや、洗浄に使用した洗剤を洗い流し、ちゃんと水気を飛ばしてあげる事が大事です。

また、水分を飛ばす為に宝石を乾燥させようとして、熱を加える事は宝石の劣化に繋がるので避けましょう。

研磨用クロスを使いジュエリーを擦って磨く際は、ぬるま湯でのクリーニング同様に、柔らかい宝石には必ず当てないようにしましょう。