プラチナ、金、銀の硬さや強度を比較。それぞれの素材の特性やメリットなど。




 

ジュエリーを購入する際、素材別に何となくイメージはあるけど素材それぞれの特性などは詳しく知らない。

そんな人が一般的に多いのではないでしょうか。

(恐らく僕もこの業界で働いていなければ、全く知識がなかったです)

強度があまり無い素材で凄く繊細なデザインを作っても、パーツが折れたり形が歪み壊れてしまったり、留まっている宝石が落ちて無くなる、なんて事は実は多々あります。

デパートやブランドのお店では、そういったお客からするとマイナスになるような要素や、使用していく中でのジュエリーの変化までは誰も教えてくれません。

店員さんが制作に携わる訳ではないので、そもそも知らないのです。

彼らはあくまでもお客に販売する事がゴールであり、その後の修理やメンテナンスは実際に自分達が困る訳ではありません。

詳しくは、こちらの記事をチェックしてみて下さい。

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2019-11-29

 

こうした事も含めた様々な理由から、ジュエリーを購入する際に素材の特性を理解した上でデザイン又はオーダーする事が非常に大切となってきます。

今回の記事では最も代表的な貴金属である、プラチナ、金、シルバー(銀)の特性についてざっくりと解説していきます。

 

 

プラチナの特性

 

宝飾品に使用される素材の中では、最も強度がある素材。

日本国内では、エンゲージリングやマリッジリングといったらプラチナ・・・と連想する程、ブライダルリングに使われる事が多いイメージです。

金が今程値上がりする前の一時期は、プラチナが最も高価な時代もありました。

加工する側の人間からすると粘り気があるので加工がし易い素材。

(専門的な話になりますが、溶接の際も部分的なスポット加熱でも溶接材が綺麗に流れるので、溶接もし易いですね。)

プラチナとシルバー、どちらも銀色で違いがよく分からない、といったお声を頂く事があります。

色味だけを見ると確かに近いのですが、実際の強度面や価格面では両者は真逆。

また、類似するのは色味だけでプラチナの比重は何とシルバーの約2倍になります。

最も持ちが良いと言われる理由は、摩耗し難い性質にあります。

(他の貴金属同様に摩耗はするが、他に比べると摩耗が遅い)

安定性が高く他の物質と化学反応を起こさない事から、日常生活において最も安心して着けっぱなしに出来る素材です。

 

プラチナのメリット

  • 宝飾品に使用される主な素材の中で、最も丈夫 (最も摩耗が遅い)
  • 科学的な安定性が最も高い (化学反応を起こさない)
  • 色味が変わらない
  • 最もアレルギー反応が出にくい

 

プラチナのデメリット

  • シルバーに比べると高価

 

 

金の特性

 

プラチナやシルバーに比べ表面が非常に硬い素材です。

硬いが故に摩耗するスピードはプラチナよりも若干早め。

(と言っても数年で劇的な差が出る訳ではなく、10~20年といった長いスパンでの話)

近年では急激な高騰が続き、今では最も高価な素材となりました。

ここ10年程は特に価格が上がり続け、税込み小売価格は1グラムあたり6000円台後半に。

国内の様々なブランドやメーカーは材料費が高騰する中でも利益を出す為に、1つの商品に使用する材料を極端に減らすか、金性をダウングレードする事で対応しています。

例えば18金で作ると高額になってしまうので、10金素材で作るなど。

これは貴金属が使用された宝飾品全般に言える事ですが、特に金は使用する材料の量を大幅におさえる傾向にあるので、リングであれば薄く細いデザインが主流になってきています。

(幸い日本人は華奢なデザインが好きな人種なので、繊細で綺麗だと言う売り文句に釣られまだまだ売れていますが)

金は唯一世界共通の資産的価値があるので、積み立てなどで持たれている方も多いでしょう。

作り手から制作で使用する材料として見ると、他の貴金属に比べて特別にバネ性が強いので、脆い宝石を石留する際には注意が必要です。

ホワイトゴールドとイエローゴールドは比較的加工がし易いですが、ピンクゴールド(特に18金)だけは銅の成分と金の相性が悪いのか、大幅なサイズ直しをするとヒビが入ってしまう場合があります。

(純度が高い金全般、他の貴金属と比べると素材自体が硬くひび割れし易い)

部分的なパーツとして使用はしても、ブライダルリング本体の材料としては一生使用する上でメンテナンスが難しい素材となるので、覚えておくと良いでしょう。

 

金のメリット

  • 世界共通の資産的価値がある
  • プラチナの次に持ちが良い
  • プラチナの次にアレルギー反応が出にくい

 

金のデメリット

  • 値段が最も高価
  • プラチナに比べると摩耗が若干早い
  • ピンクゴールド(特に18金)は力を加えるとヒビが入り易く、修理が難しい場合がある

 

 

銀の特性

 

※ 特殊な素材を混ぜた銀以外の、一般的な “シルバー” についてのみフォーカスしています。

銀は金やプラチナに比べて非常に柔らかく傷つき易いです。

摩耗も他の2種と比べると最も早く、よく擦れる部分は目に見えて体積が少なくなっていきます。

また、常に空気中の硫黄などと反応し、表面の硫化により黒く変色していくのは最も有名なシルバーの特徴ではないでしょうか。

シルバーがアクセサリーが好きな人は、大抵そのくすんだ色が好きな人が多く、全面光沢な仕上がりよりも具象的なデザインをより立体的に見せる事から立体的なデザインを多く見受けます。

身につけるアイテムの場合は消耗品のイメージが強く、基本的に銀はジュエリー素材ではなくアクセサリー素材。

シルバージュエリーと表現される事は非常に稀で、一般的にはシルバーアクセサリーと表現されます。

ジュエリーとアクセサリーの違いについては、こちらの記事をどうぞ。

アクセサリーとジュエリーの違い。それぞれの言葉の意味や違いとは?

2020-08-27

貴金属の中でも熱伝導率が最も高い為、シルバーアクセサリーを付けたままサウナなどに入ると火傷の恐れがあります。

因みに、シルバーアクセサリーを身につけたまま硫黄成分が含まれた温泉に入ると、一瞬で真っ黒になってしまうので要注意。

 

銀のメリット

  • 金やプラチナに比べ非常に安価 (一部の高額なブランドを除く)

 

銀のデメリット

  • 柔らかく変形し易い
  • 摩耗が早く持ちが悪い
  • 色が変色する

 


 

今回の記事では、ざっくりとした特性をそれぞれ比較してみました。

ジュエリーやアクセサリーなどの宝飾品として長く身につける為には強度を考慮する必要があります。

購入する際には是非様々な角度から商品を手に取って、ボリューム感を確かめる方がベター。

ただし、プラチナなどの丈夫な素材であっても、華奢でボリュームが全く無いデザインでは簡単に曲がり壊れます。

同様に、シルバーなどの非常に柔らかく持ちが悪い素材であっても、しっかりと幅や厚みがあるデザインであれば、すぐに変形する訳ではありません。

それでは、より良いジュエリーライフを。