近年は生活に必要な日用雑貨から、食品、衣料品、家具など、実際にお店に足を運ばずに家を出る事なく配送されてくる物資で毎日生活をしている、なんて人も珍しくない時代となりました。
土地、建物などの物件、車など高額な買い物もオンラインで検索が可能となり、既にオンラインで販売されていない物を検索する方が難しいと言われています。
ジャンルによっては実店舗で販売されている物よりも、オンラインの方が安価だったりしますよね。
そんな通販でジュエリーや宝石を購入する際にありがちな、注意すべき落とし穴について今回の記事では触れていきたいと思います。
自分で事前に購入した品を持ち込む人が増えた背景
日用品のお買い物と同じような流れで、自然とジュエリーや宝石を通販で購入する人も増えてきました。
日々の仕事の中で、自分が担当したお客様と打ち合わせし、接客、デザイン、制作と納品するまで全て一貫して物づくりをする僕だからこそ、この時代の変化を肌で感じています。
実際に、指輪の空枠(宝石が留められておらず、何も装飾が施されていないが、成形、下磨きの研磨だけされている常態)だけ購入して持ち込みをして頂き、その枠に合う好みの宝石を留めて仕上げるオーダー。
宝石だけ事前にオンラインで購入して持ち込みして頂き、その宝石に合う好みの枠を選び、宝石を留めて仕上げるオーダー。
こうしたパターンの仕事が増えてきている事が何よりの証拠であります。
通販でジュエリーや宝石を購入する事を冷静に考えれば、実物に手を触れずに写真と値段だけを見て判断する高額な買い物という時点で、ある意味ギャンブルに近い事なのです。
ですが、普段からオンラインで買い物、購入、決済している方にとっては値段が違うだけの、日常の延長線上にある事なのでしょう。昔では考えられなかった事が今では当たり前となっている。そんな事実が身近に存在しているのです。
よくある検索キーワードが全て無意味になる可能性
日頃からジュエリーや宝石をネットショッピングで購入する人の間で最も多い検索パターンとしては、通販_人気、通販_おすすめ、通販_安い、通販_評判、通販_口コミなどの検索ワードです。
・・・がっ!!
オンラインで安価なジュエリーや宝石を購入する際に限り、今ご紹介した全てのキーワードで検索をかけても労力と時間の無駄だと僕は始めにお伝えしておきます。
例え購入者の方が、どれだけの時間、どれだけの労力をかけたとしても僕のこの意見は揺るぎません。
何故なら、オンラインショピングで宝飾品が安い場合は、必ずほぼ全ての商品に関していくつかの共通点が存在するからです。
もちろん知識として新たな情報を得る事は今の情報社会では大変重要であり、溢れる程の情報から自分で信頼出来る情報を絞り考察する力が何を調べるにも必要な時代ですから、調べた時間は貴方を完全に裏切る訳ではありません。
では、僕がなぜいくら検索をしたところで安い買い物では結果に大きく影響しないと断言するのかは、これからお話する通販の落とし穴で解説していきます。
よくある通販の落とし穴
ここからは、実際にどういった仕組みで通販で扱われている商品が安くなるのか、具体的に例を挙げていきます。
肉抜き
肉抜きとは違う言葉で言い換えると、軽量化の事です。
そしてこれが最も通販で多く使われているカラクリとなります。
ジュエリーの値段において、特定のブランドライセンス料や人件費を除くと、残りの金額のウェイトを占めているのは貴金属の量です。
当然より多くのグラムを使って作られていれば、多くの材料を必要とするので高価となります。逆に少ない材料で作れば安価に抑える事が可能となるのです。
指輪であれば可能な限り薄く、細い幅で作る事で原価を抑える事が出来ます。
また、例え写真では幅が太かったりボリュームがあるように見えても、実際は内側が凄い上げ底になっていて、ぺらぺらの薄い作りになっていると、ボリュームに対して非常にグラムが軽くなるので同じように原価を抑える事が出来ます。
もちろん作りが薄かったり細かったりする場合は、どんな貴金属の素材を使用したとしても、全く強度が無いのですぐに変形したり宝石が取れたりして壊れてしまいます。
また、肉抜きは通販ではチェーンに特に多く見受けられます。
- 通販で購入したチェーン修理の実例
実際に過去の仕事でこんな品に遭遇した事が何度もあります。。。
ある日、切れてしまった18金のチェーンの修理をお願いしたいというお客様を接客しました。
40cm程あるチェーンの中央近くから、折れたように切れたチェーンが持ち込まれました。
「それでは状態を拝見させて頂きますね。」と、修理を希望されているチェーンをよく観察しようとした時の事です。
ん?なんだこれ!?、とチェーンを持った瞬間に僕は衝撃を受けました。
と言うのも、見た目から予想した質量よりも手に持ったチェーンが圧倒的に軽かったのです。
まさか・・・と思いながら、切れてしまっている部分をルーペで覗くと、チェーンの1つ1つのコマが全て中空になっていました。
そうです、チェーンのコマが全てパイプ状になっており中がスカスカの状態だったのです。
ただでさえ酷く軽量化されているのに、細身のレディースデザインでは必ずすぐに切れてしまいます。これでは強度も何もありませんし、日常的に身に着ける事などほぼ不可能に近いものでした。
よくよくお客様のお話を聞いてみると、「18金で長さもあるのに、安かったので通販で購入しました」と教えて頂きました。
チェーンのグラムを計ると、何と肉抜きされてない場合のチェーンの半分以下。
差し支えなければとお客様に購入金額を聞くと、資産として金を購入したとしてもグラム換算すると損をするレベルの金額でした。
やはり通販の作りとプライス。
肉抜きされている事、そしてそれ故に販売価格が安かった事を伝えると、「やっぱり通販で安いと色々と駄目なんですね~」と、笑いながらも少し悲しそうな表情を見せたお客様に僕も心が痛みましたが、誠実に真実をお話する事が次の失敗を防ぐ事に繋がると思い、全てお話しさせて頂きました。
(賛否両論あるとは思いますが、これは僕の職人としての矜持です。)
- グラムの表記がないチェーン
オークションやフリマアプリでもよく出回っているのですが、根本的に商品の詳細欄に重さを掲載していない場合があります。
単純すぎて信じられないかも知れませんが、未だによく見受けられるパターンです。素材が書いてあってもグラムがない場合は当然信憑性に欠けます。
貴金属の取引をするならグラム表記が無いのは論外ですね。
- グラムが記載されていても注意する事に変わりはない理由
ちゃんとグラムが表記されている品でも、注意しなければなりません。
当たり前の話なのですが、素人の方が表記されたグラムを見た所で「このぐらいの長さでこの素材だと、この重さになるのだろう」程度でしか考える事が出来ず、プロでないとグラムで比較したり基準となる重さの感覚がそもそも無いからです。
なので、例え商品の詳細が記載された欄にグラムの表記があっても、グラム表記をしている=購入しても安全な品、という訳ではありません。
当然売る側も詳細に記載した方が、買い手からより安心感や信頼感を得られる事を承知で販売しているので、ある意味彼らの戦略と言っても過言ではありません。
極端に肉抜きされたチェーンの購入を回避する方法としては、同じ形状(小豆、小判などの名称)、同じ線径(0.32パイなど)、同じ長さ(レディース標準であれば大抵40センチ)の同じ素材のチェーンを複数比較する事です。
違うページの類似した商品の中で、明らかに1つだけ表記されたグラムが軽い場合は軽量化が施されている場合がほとんどです。
メッキやフィルド
こちらの仕組みもチェーンに多く見受けられます。
例えば、多くの人が馴染みのあるヤフーオークション、特にここ数年で一気に成長したメルカリで非常に多くの数が出回っているのですが、何かよく分からない合金に表面だけ金やプラチナなどの貴金属がコーティングされている商品。
あわよくば本物の金やプラチナと間違えて買ってくれないかな~と、明らかに計画的に狙った説明文などと共に販売されています。
ここで注意しなくてはならないのが、商品価値に関して例えグラムの表記があっても、グラムは何の意味もないという事です。
メインとなる中の素材が何か分からなかったり、安価な素材であったり、何かの合金である以上、フィルド加工が使用された商品のグラムは何の当てにもならないからです。
- メッキとは・・・
金属の上から別の金属を電着などを利用しコーティングする事です。
例えば、デパートや雑貨屋さん、アクセサリー屋さんで、販売価格が数百円~数千円の品は大抵、真鍮や銅、亜鉛などの原価が安価な素材に、金メッキやニッケルメッキ(銀色)がかけられているものが殆どです。
余談ですが、ニッケルメッキに対して人の肌はアレルギー反応をする事が多く、安価なアクセサリーで肌が荒れたりかぶれてしまう場合はニッケルメッキが原因の場合が多いです。
- フィルドとは・・・
文字通り、〇〇で埋まっているという意味の、”filled” を意味します。仕組みはメッキと同じなのですが、メッキよりも厚くコーティングがされています。
一般的にはメッキよりもだいぶ長持ちするパターンが多いです。
例えば、750 GFと打刻されている商品はゴールドフィルドの略で、何かの素材に18金のフィルドコーティングがされている品、という事になります。
- メッキ自体が悪い訳じゃない
様々な詐欺紛いの商品や悪意のある商品がインターネット上に溢れている時代なので、メッキと聞くとついつい “偽物” のようなニュアンスで捉えられがちですが、貴金属の加工においてメッキをかける事自体が悪い事ではありません。
特定のアレルギー反応をしてしまう場合を除き、耐腐食性を高めたり、金属の表面を希望の色に変化させる事が出来たり、若干耐久性が高まるので、デメリットはあまりありません。
現に、ブランドの店舗やデパートなどで僕達が日頃目にする18金のホワイトゴールドで作られたほぼ全ての商品は、ロジウムメッキというメッキで最初はコーティングされて販売されています。
ホワイトゴールドといっても本来金色である金が混ざっているので、実は地の色はプラチナに比べると少し黒く暗いトーンなんです。
それをプラチナと同じぐらい明るい白い色に見せる為に、メッキのコーティングがされてケースの中に並んでいます。
- では何がいけないのか?
メッキやフィルドが悪い事じゃなければ、一体何が問題あるの?と疑問に思った方が居ると思います。
もちろんそうした加工自体は何の問題もありません。
ただ、こうした加工がされた商品で安価な販売価格が付けられている物の多くが、あたかも混ざり物がない無垢の18金などに思えるような、限りなくグレーに近い紛らわしい表記の仕方や説明文を掲載していて、あわよくば騙されて購入する人がいないかと狙ったような商品なのです。
また、真鍮や亜鉛などをはじめとする安価な金属、またはそれらを混ぜ合わせた合金に、金などの貴金属のコーティングをかけただけなのに、内容と比べると非常に高価な販売価格がつけられている事が多く見受けられます。
表面にかけるコーティングで使用される貴金属なんてほんの数グラムなので、換算して内容を考えるとネットで販売されているなら尚更、高額になるはずがないのです。
在庫処分
ジュエリーの場合には少ないパターンですが、ルース(宝石)に関してはこれが適用される場合が多いです。
他の業界と同じように、長く売れ残りストックしている分を少しでも売上げに変換して、在庫を減らそうという動きの事です。
たまたまそうした在庫処分の品に当たり安く感じる事も、当然オンラインではタイミングによって出てきます。
- ネットショッピングで宝石を購入する場合の注意点
色石の場合(ダイヤモンド以外の宝石)
色石であれば、産地やインクルージョンや表面の状態などの詳細が記載されていると安心ですが、何も記載がない場合や写真で表面の具合が確認出来ない場合は、ただの賭博となります。
また、色石では非常に大切になってくる色味も撮影の為に当てられた強いライトのもとで見る場合と、実際に届き自分が自然光のもとで見る場合では、天と地の差が出てきます。
写真では綺麗でも、オンラインで購入する以上、本当に写真で見た宝石と同じ宝石が届くかなんて誰にも分かりません。
届いた宝石をよく見ると、ショップページで見た写真では確認出来なかった細かいヒビが入っていたり、エッジが少し欠けていたりした、なんて話は昔からよくある話です。
実物を手に取り、細かい部分まで確認出来ない常態で購入している、というハイリスクな買い物である事を自覚しましょう。
ダイヤモンドの場合
ダイヤモンドであれば、国際的な評価基準となっている4C(Cから始まる4つの評価項目)である、カラット、カラー、クラリティー、カットの総合評価がしっかりと記載されている事が最低条件となります。
簡単に4つの項目を説明すると・・・
- カット:宝石の重さ
※ よく大きさと間違えられがちですが、カラットとは宝石の重さを意味します。
- カラー:ダイヤモンドの色味
発掘される殆どのダイヤモンドは黄色~茶色く褐色味を帯びていて、無色透明に近くなる程高価になります。
- クラリティー:ダイヤモンドの中にある内包物
インクルージョンと呼ばれる成長過程で巻き込んだ内包物が少ない程高価になります。
- カット:カットの正確さ(左右対称か、的確な角度でカットされているか)
沢山あるカットの種類の中、皆さんがよく見る丸いダイヤモンドのカットはラウンドブリリアントカットと言います。そしてラウンドブリリアントカットの場合は各カット面の表面積のパーセンテージや角度の許容範囲などの評価が細かく決まっています。
カットのグレードが良い程、光が当たった時の反射や輝き、ダイヤの明るさなどが綺麗に見えます。当然カットの評価も高い程高価になります。
4つの評価項目を比べ、値段と共に総合的に判断しましょう。
4つの項目のうち、どの項目を重視するかは人によって好みは違いますが、極端に黄色かったり茶色く褐色がかっていないカラーの品の場合は、単体で見た際は素人目ではカラーの違いは認識し難い為、最上級のDカラー(無色透明)でなくても問題がない事が多いです。
他の部分に金額のウェイトを回した方が、ある意味得かも知れません。
また、いくら大きさがあってもカットの評価が良くないと、根本的に輝きが損なわれている場合が多いので、ぱっと見た時の見た目が綺麗ではありません。
カラットとカットが良くても、クラリティが低くなると肉眼でもインクルージョンが見えてしまうので、総合的なバランスが大事です。
ダイヤモンドの4Cについては、また別の機会に詳しく記事にまとめたいと思います。
パーツ屋や卸売り業者が運営するブランドの場合
東京の御徒町と山梨の甲府は、日本国内の2大ジュエリー問屋街です。
こうした場所に昔から店を構える卸売り業者やパーツ業者が、自分達がジュエリーショップなどに普段卸している枠やパーツと同じ物を使用して、自社でも独自のブランドを展開し店舗を出している業者もいくつか存在します。
既に存在する既存の枠などを使用し組み合わせてパターンを多く展開するので、新たに新型の枠を毎回開発する必要が無く、コストを抑える事で安価に制作する事が出来るメリットがあります。
名前がそれなりに売れているジュエリーブランドは、自社でデザインした枠しかまず使用はしないと思いますが、リフォームを受け付けているジュエリー工房などでは取り扱われている事も多々あります。
実際に僕が働く工房でも自社の枠を普段は使用しますが、お客様が細かい部分まで希望のデザインのものでなくても、1番に価格を優先して制作したい場合は、こうした業者から購入した量産されたパーツや枠を使用する事で、あまりしっかりとした作りではありませんが価格を安く抑えて加工をする事が可能です。
デメリットとしては、限られたデザイン性のあまり強くないオーソドックスなものから選ぶ消去法になってしまうという事と、やはり作りにあまり強度がない部分です。
ただ、たまにしか使用をしないシンプルなジュエリーを制作するのであれば、ある程度価格を抑えて注文するオプションの1つとなるでしょう。
安価な作りのパーツが多く使用されているもの
このパターンはイヤリング、ピアスなどのパーツや、ネックレス、ブレスレットなどチェーンを使用するパーツを、可能な限り安価に作れるパーツを多く代用する事で、本来の価格よりも抑えたコストで制作、販売できるというものです。
例えば、チェーンの端に付ける開閉する特定のパーツなどは1枚の金属の板を曲げ、そのバネ性を利用したパーツが存在します。
本来は1枚の板状の金属を加工し調整する部分を、2枚の板をただ溶接するだけの簡易的なパーツにする事で、使用する金属の量を減らし、パーツを加工する費用と時間を抑える事が可能です。
安価なパーツを1つのジュエリーに多く使用する事で、販売価格を抑える仕組みとなっています。
TVショッピング独自の商法
一般的な通信販売と比べて、テレビショッピング(テレフォンショッピング)は独自の商法で非常に上手く消費者に購入させています。
日々ジュエリーを作っている人間からすると、特にジュエリーに関しては面白いぐらい全てのショッピングチャンネル、全ての販売される商品で同じ効果を発揮するフィルターがかけられている事に気付きます。
品数に制限をかけ、購入意欲を刺激する
これは定番の商法ですね。迷っている客に早くしないと売切れてしまうという不安感を煽るのです。
後の細かい説明は何もいらないと思いますが、まずはここから誘導が始まります。
カラットやカラーを強調し、クラリティの詳細がない
だいたいテレビショッピングで販売されるジュエリーは、より多くの人から需要があるように、万人受けするような何のひねりも無いシンプルなデザインの品を取り扱う事が9割です。
よって、プラチナにダイヤ、金とダイヤといった王道のコースの商品が殆どです。
ダイヤモンドを使用したジュエリーを販売するのにも関わらず、商品やチャンネルによっては、ちゃんとクラリティーの表示をしていない商品も存在します。
商品紹介の中でダイヤの重さであるカラットや、大きさを口頭でやたらと強調し、カラーやクラリティーには全く触れないのです。
ある程度の大きさのダイヤモンドをあしらった商品であれば、最低でも4C全ての項目に触れ、どんなダイヤモンドが使用されているかは知りたいところです。
インクルージョンを見えないように加工し放送する
ジュエリーを販売するテレビショッピングで、ほぼ全ての商品に使われる、最も多いフィルタリングがこのパターンです。
どういった加工かと言うと、紹介する商品がテレビ画面にアップで映し出される際に、ダイヤモンドのインクルージョン(内包物)を反射で見えなく、又は見えにくくする映し方をする方法です。
ゆっくりとカメラが動いて商品を映したり、商品がゆっくり回って映る際に、やたらとダイヤがキラキラと光ったり、画面全体が白っぽく強調されて眩しい事が多いですよね?
実はあれは完全に狙った効果なんです。
ダイヤがキラキラと眩しいぐらいに反射する程に商品に強い光を当ててカメラで映す事で、ダイヤモンドが反射し、仮にあまり質の良くない内包物を多く含む安いダイヤモンドを使用していたとしても、視聴者にばれずに売りつける事が出来ます。
また、商品をアップで映す際に急に画面全体が明るくなったりするのも、カットやプロポーションがあまり良くない暗い色のダイヤを、本来の色味よりも白く見せる事ができ、反射同様にインクルージョンが見えにくくなる効果があります。
つまり、商品に留まっている本来のダイヤモンドよりも、グレードの高いダイヤに見せかける事が出来るんですね。
そのイメージで商品を購入しても、多くの場合は手元に届いてみるとそんなに綺麗に輝くダイヤモンドではない事が多いと思って下さい。
鑑定書をつける
あまり知識の無い素人の方は、「鑑定書が付いたダイヤモンドジュエリー」と聞くと、無意識に鑑定書が付いてないジュエリーよりも質の良いものに違いないと誤解しがちです。
・・・が!鑑定書は一定のダイヤの大きさから、どんなダイヤにも付ける事が可能です。
鑑定書が付く=良いダイヤモンドを使ったジュエリー、ではないのです。
良いグレードのダイヤでも、非常に悪いグレードのダイヤでも、そのダイヤがどんなダイヤか性質やグレードを証明する証明書はいくらでも発行が出来るのです。
それを知らない視聴者に、あたかも良い質の品という錯覚をさせる事が出来る要素の1つとなっています。
まとめ
実店舗が無いオンラインの方が、運営する経費としては場所代にそこまでお金がかからないので、販売される商品が必然的に安くなると購入者は思いがちですが、ジュエリーや宝石の通信販売の場合は決してそんな事はありません。
安さの背景に何があるのかで正当な理由の安さなのか、そうではないかが分かれます。
いくつかの代表的な仕組みやカラクリについて触れてきましたが、1つ誤解をして欲しくないのは “オンラインショッピング” 自体が悪い仕組みではないと言う事です。
その仕組みを利用して限りなく詐欺に近い行為をする人達が居る為に、いつの時代も何かと疑われる事がありますが、仕組みそのものではなく悪意ある販売行為をする人間達に原因はあります。
残念ながら、知識の無い方達を騙そうとする人間は時代がいくら変化しても後を絶ちません。
だからこそ購入を検討している買い手側が、購入前にある程度良し悪しが分かる程度や注意すべき点をしっかりと知識として得たあとに、気をつけて吟味して頂きたく思います。
本来、オンラインでのショッピングは手軽で楽しいものです。僕個人でも日用品などの買い物もよくしますし、時間がない時に買い物が出来る便利さ、沢山の商品を短時間に見れる楽しさはオンラインならではだと思っています。
ただ、どうしても仕事がら限りなくグレーに近い詐欺紛いの商品を持ち込みされるお客様が多くなり、困った方達に手を差し伸べる機会が現実的に仕事で増えてきているので、少しでもこれからオンラインでジュエリーや宝石を購入する方達への注意喚起となればと思い、記事としてまとめさせて頂きました。
少しでも多くの方の参考になれば幸いです。